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10分じゃ分からないTHE BEATLES その4

ようやく編集しきりました。
ネット環境がダイヤルアップの実家にいたりスキー行ったりでなかなか書けなかったけど、ようやく。
それではどうぞ。

『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』1967年
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1. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band  ポール
2. With a Little Help from My Friends ポール(ボーカルはリンゴ)
3. Lucy in the Sky With Diamonds ジョン
4. Getting Better ポール
5. Fixing a Hole ポール
6. She's Leaving Home ポール
7. Being for the Benefit of Mr. Kite! ジョン
8. Within You Without You ジョージ
9. When I'm Sixty-Four ポール
10. Lovely Rita ポール
11. Good Morning Good Morning ジョン
12. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise) ポール
13. A Day in the Life レノン・マッカートニー

【全体を通して】★★★★★

1967年という激動の世界情勢の中、出された作品。
65年から始まったアメリカの北爆により、ベトナム戦争は激化の一途をたどり、泥沼化していた。その結果、世界中に反戦運動の動きが高まり、やがて、アメリカ国内には戦争、徴兵を拒否し、現実逃避を選んだ若者が続出。彼らは現実逃避のツールとしてドラッグを選び、ヒッピーと呼ばれるようになった。
そんなヒッピーたちはロックを共通の文化として受容していた。そこに呼応するようにビートルズが若者文化の象徴として迎えられたのだった。

ビートルズは、このアルバムで、ビートルズであることを辞めている。
このアルバムのジャケットはビートルズ自身によるビートルズの葬式の場面だ。そこに参列する多くの著名人たちは、ビートルズメンバーが敬愛している人物を集めたもの。
マルクスがいたり、ボブ・ディランがいたり、アインシュタインがいたり、エドガー・アラン・ポーがいたり、と彼らを探すだけでも面白い。また、墓の周りに植えられているのはマリファナで、彼らのドラッグ体験を示唆している。
ビートルズを封印した彼らは
「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」
という風に名を改め、「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」のショーとして仕立てることをコンセプトとしてこのアルバムは作られた。
このコンセプトを発案したのはポール。そのためか収録楽曲のほとんどがポール作。
当初は曲と曲の間を全部つなげてしまう予定だったが、実際には1曲目と2曲目だけでそれ以降は断念している。史上初のコンセプトアルバムと呼ばれるが、このため、ジョンは「コンセプトアルバムと呼ばれるが、眉唾物だ」と懐疑的である。
史上最高とも揶揄されるこのアルバムだが、実際にはピンで成り立つ、パンチのきいた曲は少ない。このアルバムのコンセプトの中で、このアルバムの曲として聴くからこそ価値がある作品が多く、ビートルズをほとんど知らない人がこのアルバムから聴いても、微妙なんじゃないかなあ。
ただ、なんといっても最後の「A Day in the Life」は凄まじい曲でこれを聴くためだけでも買いではあると思う(逆にパンチが効きすぎてるけれど)。

【オススメ曲】
「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」
主にポール作。
ビートルズではなく、サージェントペパーとしての自己紹介的な内容。
ビートルズに特徴的な「ギュン、ギューン」っていうギターが聴こえる。

「Lucy in the Sky With Diamonds」
ジョン作。
タイトルの名詞の頭文字をとると L S D となるため、LSDの使用を示唆する歌と言われるが、ジョンは否定している。
ある日、ジョンの息子、ジュリアンが保育園から帰って来て、保育園で描いた絵をジョンに見せた。そこには、ジュリアンと同じ保育園に通うルーシーが、ダイアモンドを持って空を飛んでいる絵が描かれてあった。そこからインスピレーションを受け、制作した、とジョンは語る。
ボーカル、サウンド、詞全てに置いてサイケデリックの典型と言える。
ジョンの声質を意図的に変えてあり、ポールもいつもよりも高めのコーラスで、ジョンの声質に似せている。
余談だが、ジョンは自分の声質が気に入っておらず、しばしば意図的に声質を変えている。それがサイケデリックに作用し、アバンギャルド的な彼の魅力を高めているようにも思える。

「She's Leaving Home」
ポール作。
家出少女の新聞記事からヒントを得て作られたと言われる。
ポールお得意のクラシック調の曲。
「She」「is leaving」「home」のサビのところが美しい。このときの合間に入るジョンのコーラスは新聞記事を借用している。

「Being for the Benefit of Mr. Kite!」
ジョン。
サーカスを意識した作りで、間奏でその雰囲気がすごく伝わる。個人的にやや不気味な雰囲気を持っているように感じる。
MALICE MIZERみたいだなー、と思う。MALICE MIZERそんなに知りませんが。

「When I'm Sixty-Four」
ポール作。
このブログでも、ポール64歳の誕生日の時に取り上げた僕の大好きな曲。
ポップでかわいらしい。
結婚式で流したいです。
以前の記事で歌詞を訳したりなんかしてるのでそちらもどうぞ。
When I'm Sixty-Four.

「Lovely Rita」
ポール作。ポールっぽい恋愛物語の詞とポップなメロディ。
婦人警察官リタへの恋心を歌った歌。「Lovely Rita Meter Maid」という所は、アメリカでは交通取締官のことを「Meter Maid」というところからつけられている。
実際にポールが女性警官に取り締まられたことから作られた。
ポップなメロディで聴き逃しがちだけど、ビートルズらしい実験的な要素も多く含む。
例えば曲中の効果音に収録スタジオである、アビィロードスタジオのトイレットペーパの芯と櫛を使っていたり、最後はメンバーが思い思いに様々なノイズを入れている。
間奏のピアノはジョージ。

「A Day in the Life」
ジョンとポールの完全な共作。
最初と最後の部分がジョン、中間部分がポール。全く違う曲を組み合わせて出来ている。
最初、弾き語りで始まり、静かで美しい曲調だが、途中から、それはもう凄まじい展開をみせ、ポールの歌へと続いて行く。その展開の凄まじさは、そら恐ろしくもあり、実際僕は初めて聴いたとき、恐すぎてしばらくトラウマでこの曲を拒否していたほど。とにかく、これまで聴いた音楽の中で、もっとも大きな印象を与えられた作品。僕の中ではビートルズ史上最高の作品。
歌詞にしても、ジョンのパートはジョンらしい、メッセージが込められつつも直接的には言わない、皮肉的な内容。新聞記事を読んで思いついたらしい。
また、ジョンのパートのうち、「I'd love to turn you on」はポールが付け加えた。ジョンはこれに対し、「とても素晴らしい貢献」と評している。
「I'd love to turn you on」は麻薬使用を連想させ、BBCでは放送禁止になった。
また、ジョンの部分とポールの部分をつなぐ、オーケストラが印象的。
段階的に音が高くなっていく内容だけど、これもなんか恐ろしい。脅迫されているような、焦燥感にかられるような、そんな感覚になる。
これはジョンの「ゼロから始めて、世界の終わりのような音を出したい」という希望があったためで、まさに「世界の終わり」をみているかのような感覚になる。
その希望をジョージ・マーティンが41名のオーケストラを使い、それぞれの楽器の出せるいちばん低い音からいちばん高い音までを段階的に鳴らすということで実現をさせたらしい。



『THE BEATLES』1968年
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ディスク:1
1. Back in the U.S.S.R. ポール
2. Dear Prudence ジョン
3. Glass Onion ジョン
4. Ob-La-Di, Ob-La-Da ポール
5. Wild Honey Pie ポール
6. Continuing Story of Bungalow Bill ジョン
7. While My Guitar Gently Weeps ジョージ
8. Happiness Is a Warm Gun ジョン
9. Martha My Dear ポール
10. I'm So Tired ジョン
11. Blackbird ポール
12. Piggies ジョージ
13. Rocky Raccoon ポール
14. Don't Pass Me By リンゴ
15. Why Don't We Do It in the Road? ポール
16. I Will ポール
17. Julia ジョン

ディスク:2
1. Birthday ポール
2. Yer Blues ジョン
3. Mother Nature's Son ポール
4. Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey ジョン
5. Sexy Sadie ジョン
6. Helter Skelter ポール
7. Long, Long, Long ジョージ
8. Revolution 1 ジョン
9. Honey Pie ポール
10. Savoy Truffle ジョージ
11. Cry Baby Cry ポール
12. Revolution 9 ジョン
13. Good Night ジョン(ボーカルはリンゴ)

【全体を通して】★★★★★
サイケデリックなジャケットが横行していた当時において、この真っ白でシンプルなジャケットは大きなインパクトであったと言う。そこから、「ホワイト・アルバム」という通称が生まれ、「ホワイト・アルバム」が正式名称のようになっている。けれど、実際には「The Beatles」とだけしか書かれておらず、「無題」とでも言うのが一番正しいのかも知れない。
また、レコードのジャケットには通し番号がふられていて、1番はジョンが所有していた、とポールが言っている。僕もレコードを持っているけど、きちんとシリアルナンバー入ってます。
内容は、まさに個性の集合。ビートルズというバンドの作品というよりも、メンバーそれぞれのソロ作品の集合。全てがオススメ曲で捨て曲は皆無に等しい。ただし、その構成上、アルバムとしてのまとまりには欠けている。ビートルズ史上最高傑作と評されることが多いが、それぞれに最高傑作を持つビートルズファンの多くもこれには異論はないと思う。

『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』から一転、サイケデリックさよりも、シンプルな「ロック」に戻って行くビートルズのメンバーをみることが出来る。
そういった観点でみれば、共通の部分があり、ある程度のまとまりも見えてくる。
これ以降、「Abbey Road」「Let It Be」と、余計な音を省き、実験性を無くしたシンプルな曲が増えてくる。後期ビートルズへの第一歩とも言える。

【オススメ曲】
「Back in the U.S.S.R.」
ポールのロックナンバー。
タイトルはチャックベリーの「Back in the U.S.A」のパロディ。
ポールの航空機で移動中の体験が元になったと言われる。
飛行機を連想させる疾走感が魅力。
ドラムがまとまっていて聴きやすい(リンゴ的ではない)が、ドラムを担当したのはポール自身。
というのもこの頃、一時的にリンゴは脱退していたから。

「Glass Onion」
ジョンの作品。
曲中に「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」「フィクシング・ア・ホール」「フール・オン・ザ・ヒル」「ゲッティング・ベター」「アイ・アム・ザ・ウォルラス」とビートルズの曲が登場する。まるで真心ブラザーズの「拝啓ジョンレノン」みたいだけど、これはジョンが、ビートルズの楽曲を深読みする人たち(今も昔もそういうひとは多い)をからかうため、わざと推測したり憶測しやすくしたりしやすいように入れた。非常にジョンっぽい意地悪なアイディア。

「Ob-La-Di, Ob-La-Da」
ポールの作品。
スカのはしりとも、ビートルズ唯一のレゲエ調の曲とも言われる。
歌詞は市場で働くデズモンド・ジョーンズと、バンドで歌手をしているモリーが恋をして結婚する物語を歌ったもので、ポールが得意とする、恋愛物。しかし、3番ではなぜかデズモンドとモリーが逆になり、モリーが子供たちと一緒に市場で働き、デズモンドが化粧をしてバンドで歌うことになってしまっている。これは収録の際ポールが間違って逆に歌ってしまい、録り直そうとしたところ他のメンバーに「この方が面白い」といわれてそのままにしたかららしい。こういうところもビートルズらしい。

「Continuing Story of Bungalow Bill」
ジョンの作詞。
ジョンはあまり手がけない物語調の歌。
途中、わずかに女性がリードボーカルを務めているが、これはオノ・ヨーコ。
女性がリードボーカルを務めるのはわずかとはいえ、唯一。

「While My Guitar Gently Weeps」
ジョージの傑作。
ギターソロは、なんとエリック・クラプトン。
ジョージとクラプトンとは親友で、この曲のテーマである、ギターの泣き声を表現する際、ジョージは自身のギターに納得できず、クラプトンに依頼した。
ジョージらしい、情緒的なメロディと詞が魅力的。

「Happiness Is a Warm Gun」
ジョンの作品。
分かりやすく変調していく構成がカッコイイ。これはジョンが作った3つの曲を組み合わせたため。
ジョンは「ロックの歴史を表現した」と言っている。
歌詞はジョンらしくメッセージ性を言葉遊び的に猥雑ともとれる内容で隠している。
例えば、歌詞の「Gun=銃」は、「性交」、「ヘロインの使用」、そして「火器全般」の隠喩ともとれる。最初のところは女性への一方的な性愛を、真ん中ではMother Superior(修道院長)に麻薬の皮下注射(Gunが注射を意味する)を求める場面を、最後は銃を乱射したい欲求を発散する男をそれぞれ描いているようにとれる。
また、「Happiness is a Warm Gun」というタイトル自体が、「幸福とは温かい銃」というよりも「幸福とは(射精後のまだ)温かいペニス」という意味のが強い。
「Mother Superior jump the gun」の連呼のところは「jump the gun」が「join to gone」と聴こえることから「修道院長、イッちまえ」というふうにとられることもある。
また、「バン・バン・シュート」というコーラスは「射精、射精」という連呼に聴こえるらしい。ネイティブには。
さらに「A soap impression of his wife which he ate And donated to the National Trust」のところは「石鹸みたいに味気ない奥さんの体なんてとっくの昔にナショナル・トラストに寄付しちまった」と、当時の妻、シンシアのことを言っていると言われる。実際、この当時すでにジョンはヨーコと出会い、ヨーコに心酔し始めていて、この曲の性愛の描写はヨーコへの執心ともとれる。
ただ、こうした歌詞の読み方こそ、ジョンが毛嫌いした「深読み」や「ビートルズに意味を求めること」になるようにも思える。そう考えたならば、「Continuing Story of Bungalow Bill」でのわざと深読みさせようとしたジョンの意地悪さ同様、この歌詞もわざと深読みさせるために書いたように思える。
なので、特に歌詞に意味を求めず単に、メロディを聴くということで、充分この曲の凄さは伝わってくる。むしろ、ネイティブのようには意味の分からない日本人のほうがこの曲をまた、多くのビートルズ時代のジョンの曲(ソロ時代のジョンの曲はストレートにメッセージを伝えているので歌詞は重要になってくる)を聴き、評価するには適しているかも知れない。
「When I hold you〜」のシャウトなんてめちゃくちゃジョンらしくってカッコいいもんね。

「Martha My Dear」
ポール作。
Marthaとは、当時ポールの飼っていた犬の名前。
かわいらしいポップなメロディ。好きな歌。
この曲の収録にポール以外のメンバーは立ち会っていない。
このアルバム以降、こういうことは多くなる。
この時期のメンバーの仲は最悪で、心はどんどんかけ離れやがて解散へと向かって行く。

「Blackbird」
ポール作。
アコースティックの静かでとても綺麗な曲。
「Blackbird fly, Blackbird fly
Into the light of the dark black night.」
と、闇の中にある光を目指して飛んで行く鳥を、ポールは女性、もしくは黒人をなぞらえていて、黒人(女性)の人権擁護や解放を訴えた歌にした、と言っている。

「Piggies」
ジョージ作。
ポップでかわいいメロディとは裏腹に人間を豚に見立て、人間社会を皮肉った歌。
ジョンとは違い、直接的に皮肉や批判をする態度をとるジョージらしさが出ている。

「Julia」
ジョン作。
ジョンの実母、ジュリアの名前を冠したバラード作品。
基本的には母への愛を歌ったものだが、それに交え、「Julia, Julia, Ocean Child」という歌詞が出てくる。「Ocean Child」、日本語で「海(大洋)の子」、つまり「洋子」となり、オノ・ヨーコのことを歌ってもいる。このことは洋子がジョンに自分の名前を英語にすると「Ocean Child」となる、とジョンに教えていたことからも明らか。
ジョンは幼くして離ればなれになり、再会後、突然死んでしまった母、ジュリアをヨーコと重ねあわせていて、ヨーコに母性をみていたことが推測される。
ジョンの心の中の寂しさと、母性に出会えた歓びとが現れている作品ともいえる。

「Birthday」
ポール。
軽快なロックナンバー。作詞、作曲、レコーディングを一日ですませている。
また、オノ・ヨーコも録音に参加している。
ビートルマニア、くるりの「お祭りわっしょい」のメロディは明らかにこの曲からとっている。そちらも名曲。

「Yer Blues」
ジョン。
当時のイギリスがブルースブームだったことへの皮肉としてこの曲を作った。
ローリング・ストーンズが1968年に収録したTV「ロックン・ロール・サーカス」ではジョン、エリック・クラプトン、キース・リチャーズがこの曲を演奏している。
この映像を随分前に友達からもらったけど、めちゃくちゃカッコイイです。

「Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey」
ジョンの作品。
ジョン的ロックナンバー。
タイトルはサビ部分をそのまま使用。そのため、ビートルズ公式発表曲中最も長いタイトル。
めちゃくちゃカッコイイ。
曲の最後の部分のまた曲が始まるかのようなギターなんかも、曲をただでは終わらせない、ビートルズらしい。

「Sexy Sadie」
ジョン作。
ビートルズは一時インドの導師マハリシ・マヘシ・ヨギに傾倒していて講義を受けるためにインドに滞在していた。
しかし、ポールとジョンはマハリシの講義に次第に疑問を持つようになり、マハリシの俗人的行為(マハリシの女性問題など)を聞くにつれ失望し帰国した。
この曲はマハリシに対するジョンの怒り・失望をあらわしている。
冒頭の歌詞「セクシーなサディーよ、何をしでかした?あんたはみんなをコケにしやがったな」
や、「世界はあんたを待っていたのに」というところは、珍しくジョンの怒りが素直にあらわされている。
ちなみに、「Sadie」とはヒンドゥー教の行者「Saadhu」をもじってジョンが作った言葉。
「セクシーなサディ」とはマハリシの性欲を皮肉っているのか、鋭いタイトル。
また、ポールとジョージが嘲笑的にも聴こえるコーラスを入れていて印象的。

「Helter Skelter」
ポールのハードロックナンバー。
英語で「Helter Skelter」とは、螺旋状の滑り台のこと。同時に「狼狽する」という意味もある。
ポールは、特に深い意味ではなく語感が良かったからこれを使ったと言っている。
クラシック、ポップ、ジャズ、ロック等、ほとんどの音楽ジャンルを網羅しているポールの才能に改めて驚かされる作品。
曲の最後、一度フェイドアウトしてまたフェイドインするが、これは演奏が長過ぎて、当時の録音技術では全部を録音できなかったため、こういう編集をしている。
そのため、この曲のラスト、リンゴは絶叫している。
「I've got blisters on my fingers!!」
「(ドラムを叩きすぎて)指にまめができちゃった!!」

「Revolution 1」
ジョン。
シングル曲「ヘイ・ジュード」のB面のものとは別テイクでそちらはテンポが速い。僕はそっちのが好き。
タイトルからも分かる通り、ジョンらしいメッセージ性の強い作品。
この曲の後に続いていた部分をベースとして現代アート的な作品が創られ、それが「Revolution9」になった。

「Honey Pie」
ポール。
ともにポール作品の「Wild Honey Pie」とタイトルが似ているが内容的には無関係。
ポール的な物語調のもの。カントリーのような曲調もかわいらしくていいです。

「Revolution 9」
ジョン。
ジョン以外のメンバーは一切関与していない完全ソロ曲。
音楽ではない、人や動物の声、自然の音、都市の騒音などを電気的・機械的に変質させ、組み合わせてできあがった、ミュージック・コンクレート作品。
なんというか、もう現代アートです。僕には理解不能です。

「Good Night」
ジョンの作品で、ボーカルはリンゴ。
オーケストラによる演奏が美しく、荘厳な感じさえする子守唄だが、「Revolution 9」のあとにこれですよ。
寝れるか!


なんだか、ひさしぶりの更新で随分間があきましたが、なんとか書けました。
ホワイトアルバム、多杉。と思って心が折れかけてました。すみません。
次の更新がオリジナル発表アルバムとしては最後。
さらにその次にオリジナル以外のアルバムを紹介し、予想以上に長期化したビートルズレヴューを締めたいと思います。
それでは。
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by jai-guru-deva | 2008-02-13 18:49 | 今日知る音楽

10分じゃ分からないTHE BEATLES その3。


『RUBBER SOUL』1965年
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1. Drive My Car ポール
2. Norwegian Wood (This Bird Has Flown) ジョン
3. You Won't See Me ポール
4. Nowhere Man ジョン
5. Think for Yourself ジョージ
6. Word ジョン
7. Michelle ポール
8. What Goes On ジョン(ボーカルはリンゴ) 
9. Girl ジョン
10. I'm Looking Through You ポール
11. In My Life ジョン
12. Wait レノン・マッカートニー
13. If I Needed Someone ジョージ
14. Run for Your Life ジョン

【全体を通して】★★★★★
サウンド、詞作、どれをとってもこれまでとは明確に違う、生まれ変わったような作品。
初めて、メンバー自身によるコンセプトが立てられ、制作された。アイドルからアーティストへ。ビートルズの進化をこれほどまでに見せつけられるアルバムはない。
「In My Life」のジョン、「Michelle」のポールなど、二人の個性もよりはっきりとしてきた。そしてその個性がビートルズ史上最もいい風に作用しあっていた時期といえる。
まるで隙のない、最高の作品。

【オススメ曲】
「Drive My Car」
ポールの作品。
軽快なギターのイントロが聴こえた時点で、これまでの作品とは決定的に違うな、ということが分かる。
"Beep beep'm beep beep yeah"という車のクラクションを真似たコーラスも少し実験的な手法で、『リボルバー』につながるビートルズらしさがでてきている。
歌詞を要約すれば、
曲中の男性は、女性に「私は有名なムービー・スターになるはずで、そうなったら男性を自身の運転手にしてもいい」と伝えられる。そこで彼が断ると、彼女は男に「働くよりももっと素晴らしい時間をあげられるわ」と言ってくる。彼が申し出を受け入れると、実は彼女は車を持っておらず、「運転手が見つかったし、これからがスタートよ」と言うのであった。
という話になっているんだけど、こういう物語を入れ込むのは(小説家になりたかった)ポールの特徴。詞からして、これまでのただのラヴソングから大きく進化している。

「Norwegian Wood (This Bird Has Flown)」
邦題「ノルウェーの森」
シタールをポピュラーソングに初めて導入したといわれる、名曲。
メロディはとても綺麗で、でもどこか寂しく、ジメッとしている。
歌詞がちょっとした話になっているけど、それも楽しい。
どうやら、ジョンが妻、シンシアに内緒で浮気したときのことらしく、「it's time for bed」の後の間奏が情事をあらわし、その後の詞はピロートークにもとれる。
そういうエロティックな感じもジメッとした雰囲気を増長させてある。

「Nowhere Man」
歌い出しが、ジョン、ジョージ、ポールによる三重唱のアカペラ。
伴奏なしでこうまで綺麗な三重唱は凄い。
歌詞もジョンらしい、内省からでた(人気の絶頂にいて逆にひとりぼっちになってしまったような心境)ともとれる。
「Making all his nowhere plans for nobady」
と連呼するのもジョンっぽい皮肉の詞だなあ、と思う。

「Word」
ジョン。
「愛」ということに対してこれまでの、特定のだれかの物語ではなく、抽象的な表現を試みている。本当は政治的な詞を書こうとしたらしいんだけど、直接的に政治的な言葉で言及せず、愛の力を借りようとしたことにジョンらしさがあって、後のジョンの思想へつながる内容になっている。
ビートルズが政治に対する批判や意見を歌に盛り込み始めた作品として、面白いけど、この前の曲、「Think for Yourself」でジョージが鋭い政治批判を恋愛の歌としてオブラートに包んで歌っていて、そっちはもっと批判的でジョージらしい。そしてそれは「リボルバー」の「Taxman」でもっと直接的な批判となって、ジョージの個性が確立することになる。

「Michelle」
ポールの代表的なバラード。
「Michelle, ma belle Sont des mots qui vont tres bien ensemble」
とフランス語を取り入れていて、響き的に美しい歌。
ポールっぽいドポップでド泣かせなバラード。
「I love you I love you I love you」
のところはジョンが提案して入れている。

「Girl」
ジョン。
このアルバムでも1、2を争うほどの名曲といえると思う。
全体的に倦怠感がただよう。そしてこの頃のジョンはこういう雰囲気の曲が多い。
「ズーッ」と間延びしたような息継ぎが印象的。
コーラスは「tit tit tit....」と聴こえるが、これは「おっぱい、おっぱい( ゚∀゚)o彡」と言っている。

「In My Life」
ジョンのバラード。
これまでの人生を回顧し、様々な思いが巡る。しかし、最後には恋人に戻って来て、「I love you more」となる。
しばしばヨーコとの出会いを歌ったものだと言われるが、まだこのときは出会っていない。
そのままその後のジョンの作風に続く非常にジョン的なバラード。

「If I Needed Someone」
ジョージ作。
ジョージ初期の傑作。
ジョージらしく12弦ギターのフレーズで始まる。
コーラスも綺麗で素敵。

「Run for Your Life」
ジョン。
エルビス・プレスリーのパクリ。
ジョンも
「やっつけ仕事。アルバム全体の雰囲気をぶち壊した最悪の曲。特に歌詞が最悪」
と語っていてこの曲を嫌悪している。
僕はこの疾走感と声が好きで、気に入っているんだけどなあ。カッコいいと思うけど。
「No reply」と同じく、ストーカー的な詞。ただし、「No reply」みたいな可愛さはなく、もっと陰湿。後のジョンが嫌うのも分かる。



『REVOLVER』1966年
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1.Taxman ジョージ
2.Eleanor Rigby ポール
3.I'm Only Sleeping ジョン
4.Love You To ジョージ
5.Here, There And Everywhere ポール
6.Yellow Submarine ジョン
7.She Said She Said ジョン
8.Good Day Sunshine ポール
9.And Your Bird Can Sing ジョン
10.For No One ポール
11.Doctor Robert レノン・マッカートニー
12.I Want To Tell You ジョージ
13.Got To Get You Into My Life ポール
14.Tomorrow Never Knows ジョン

【全体を通して】★★★★☆
タイトルはビートルズの日本公演であまりの警備員の多さ(東京オリンピックと同規模の警備体制をしいていた)に驚いたポールが、その警備員の腰の回転拳銃を見て思いついたという。
ジャケットのアートワークも秀逸で、完全にアーティストとなったビートルズをみることが出来る。また、「サージェントペッパー」につながる、サイケな雰囲気も感じる。
このころ、ビートルズはライブ活動に嫌気がさし、スタジオにこもることが多くなっていた。ライブでは、観客の声に演奏がかき消され、客はもちろん、演奏者である自分たちにも音が聴こえないほどだったという。それで演奏はヒドくなる一方。
ジョージは
「演奏がミスっても手を振ったり腰を動かしたりすれば誤魔化せた」
と言っていて、実際に当時のライブ映像にその様子は残っている。
ジョンは
「ビートルズを聴きたければレコードを買ってください。ビートルズを観たければライブにいらしてください」
と非常に皮肉たっぷりのコメントを残している。
ツアー中は常に厳戒な警備体制の下で監視され、身動きがとれずストレスが溜まっていた。
(日本ツアー中、ポールはお忍びで皇居へ、ジョンはお忍びで東京観光をしている)

またフィリピンでのコンサートの後、当時の大統領夫人イメルダ・マルコス主催のパーティを、ビートルズはすっぽかしてしまう。権力者におもねることが大嫌いなビートルズのロックでカッコイイ一面だが、これに、フィリピン国民が激怒。とてもヒドい目にあったそうだ(ようやく乗り込んだ帰りの飛行機も離陸許可が出ず、フィリピン当局は、フィリピンでのコンサートの収益金の全てを要求、ビートルズ側がそれを呑んでようやく離陸許可が出た)。このことがあって、ビートルズのメンバーは全世界でフィリピンは最も行きたくない場所になってしまった。

さらに、ジョン・レノンが親しい友人の記者にいつもの皮肉まじりのジョークで
「キリスト教はいずれ衰退して駄目になるだろう。これはあきらかなことで、僕の言うことは間違っていない。歴史が証明してくれるはずだ。若者のなかでビートルズは今やイエス・キリストよりも人気がある。キリスト教とロックとどちらが先に駄目になるか何とも言えないけどね」
等と語ったことが、歪められて大々的に報じられ、特にアメリカで、ビートルズ排斥運動につながった。

自分たちの発言の影響力にも、自分たちを取り巻く狂った環境にも嫌気がさしたビートルズは徐々にメディアへの露出を減らし、とうとうライブ活動もしなくなった。
そんな環境の中で制作されたこのアルバムは、非常に実験的な音楽になっていて、到底ライブでの再現性のないものになっている。
インドへと傾倒して行くジョージに引きずられ、インド音楽の要素を取り入れた曲、弦楽八重奏をフィーチャーした作品、果てはテープの逆回転を取り入れた曲まで、思いついたアイデア全てを盛り込んだこの作品はまがうことなき、ビートルズ史上最高傑作。
ただ、「Yellow Submarine」はいらないなあ。
これのせいで全体のまとまりが壊された気がする。
それで☆4つ。


【オススメ曲】
「Taxman」
ジョージの代表曲。ジョージらしい政治批判の曲。
この曲が発表された当時(1964年から1970年までの期間)イギリスの政権は労働党のウィルソンが握っていた。この政権下では富裕層に対し、95%という嘘のように高い税金を、充実した社会保障を維持するために課していた。
歌詞はこの高すぎる税金に対して皮肉を込めて批判している。このやり方は非常にジョン的でもある(事実、ジョンが詞を手伝っている)。
Should five percent appear too small
Be thankful I don't take it all
「5%ではご不満ですか?全額徴収されないだけでも感謝しないと」

And you're working
For no one but me
「結局あなたがたは、私のために働いているのですよ」

なんかがそう。
また、中盤の

If you drive a car
I'll tax the street
If you try to sit
I'll tax your seat
If you get too cold
I'll tax the heat
If you take a walk
I'll tax your feet

「車を運転なさるなら
道路に税金を
おすわりになるのなら
いすに税金を
お寒いようでしたら
暖房に税金を
散歩なさるのでしたら
その足に税金をかけましょう」

なんかは、ポップなメロディに乗せて痛烈な皮肉を言っている。そして、きちんと韻をとっているから、より軽快な響きに聞こえて、それがまた皮肉感たっぷりで、この曲中でも僕が大好きなところ。

「Eleanor Rigby」
ポール。
「イエスタディ」に続いてストリングスが使用されてある。ヴァイオリンが入っているのもポールのアイデア。
音楽的にも優れているが、何よりも詞。ポール特有の物語調の詞に磨きがかかっている。
エリナー・リグビーとマッケンジー神父の孤独な話は実話のようでまったくの空想の話。
出てくる教会はリバプールの教会をモデルに考えていたらしいが、びっくりなことに、その教会の裏にある墓地には「エリナー・リグビー」の墓と「マッケンジー神父」の墓が存在するという。これはポールも知らなかったらしく、びっくりしたらしい。という都市伝説のような話もある。

「I'm Only Sleeping」
ジョンの名曲。
時間に追われる自分たち、ひいては現代の社会を風刺した内容になっていて、ジョン的。このアルバムで、ポールの作詞とジョンの作詞の方向性がまったく別方面に向かっていることが分かる。ポールは具体性のある物語を作り、ジョンは抽象的で曖昧な詞を作り出す。
この曲はそんなジョンの詞を楽しむのも良いが、凝った音作りのほうにも注目したい。
基本はアコースティックギターだが、テープの逆回しによるギターフレーズを取り入れていたり、回転数を操作して、ボーカルを作っていたりしていて、非常にけだるそうな、雰囲気を出している。また、間奏部分には、あくびに見立てた音を入れていて、曲調に一層のけだるい効果を加えている。
「I am sam」という映画のサントラで、「vains」がこの曲をカバーしていて、それもめちゃくちゃかっこいい。なんせ、ビートルズ・ミーツ・ニルバーナと称されたバンドですからね。

「Love You To」
ジョージ以外のなにものでもない。
個人的にはタル過ぎて、いつも飛ばすので、まったくオススメではないんですが(笑)、インド音楽を全面に出してきている初めての曲なので、ビートルズの歴史上、はずすことは出来ませんでした。
音楽的にも思想的にもインドにずぶずぶはまっていくジョージ。
音楽はシタールとタブラというインドの楽器で構成されてある。
シタールの奏者は不明だが、タブラの演奏はインド人奏者によるもの。
歌詞も「愛」をテーマに、哲学的に書かれてある。
もしかすると、ジョージのほうが「愛」というひとつの真理にジョンより早く気づいていたのかも知れない。
実際、インドの影響をうけ、ヒッピー的な
Love & Peace
をビートルズに持ち込んだのはこの曲からも分かるとおりジョージの仕業で、ジョン、ポール、リンゴはジョージに引きずられるようにインド思想にはまっていくことになる。そして中でも深く心酔することになるのがジョンで、それがジョンのLove & Peaceの活動の原点になったといえる(もっとも、もっと大きな原点をたどれば、母親の愛に餓えていたということにまでもどるわけだが)。

「Here, There And Everywhere」
ポールの名バラード。
綺麗で、ズバリ名曲です!というのはやっぱりポールですね。完璧にすばらしい曲であるだけに、飽きがきやすい。ポールの曲ってそんな気がするんです。それで、ちょっとひねた、ジョンの方に行ってしまう。
僕もビートルズを聴き始めのころは、なんだか分かりにくくてなじみにくいジョンを敬遠して、ポールの、耳になじみやすい曲が好きでした。
でもしばらく聴くうちにジョンのほうが面白みが出てくるようになってジョンの曲を聴く回数のほうが増えました。

「She Said She Said」
ジョンの曲。
LSD体験を通して書かれてある。このころのビートルズは麻薬漬けになり始めていて、どんどんぐちゃぐちゃした曲作りになっていく。
この曲も変調やテンポの変わりが激しく、この感じは、これ以降のジョンの曲作りを代名詞的に表している。
また、以前の記事で触れた、リンゴのドラムもそろそろ気持ち悪く聴こえてくるころ。

I know what it's like to be dead

の詞がLSD体験からきているという。

「And Your Bird Can Sing」
疾走感がカッコいいジョンのナンバー。
ギターはジョージとジョンのツインギターで、とてもドライブ感がある。
ポールによるベースも複雑で曲に幅を持たせている。
非常にカッコよくて気に入ってます。

「For No One」
ピアノが中心になって、ホルンの音も入っている。ポールお得意のクラシックな感じのするナンバー。
ポールの曲の中でも好きな曲です。
ジョンも気に入っていたそう。

「Doctor Robert」
ジョンとポールの共作。リードボーカルはジョン。
ドラッグについてビートルズとしては初めて言及していて画期的。
ロバートという医師もニューヨークに実在した医師。

「I Want To Tell You」
ジョージ。
フェイド・インから始まり、フェイド・アウトで終わる。
最後の、フェイド・アウトしながらの「I've got time」のコーラスがインドっぽい。
ジョージの湿ったようなくぐもった声も印象的。

「Got To Get You Into My Life」
ポール。
ブラスバンドを初めて取り入れていて重層な曲になっている。
音的にどこか古臭さを感じる。ビートルズの中で珍しく普遍性を感じない(個人的に)曲。嫌いじゃないんだけど。
ブラスをいれていて、大げさになっているようで。この時代の、なんかネオンのようなチカチカした光が目に浮かんでくる。


「Tomorrow Never Knows」
ジョン。
アルバム最後にして、サイケデリック時代の幕開けを宣言する凄い曲。
テープをループさせたり、逆回転させたり、とても実験的。
カモメの鳴き声みたいなのもはいっているが、これはポールが自宅で作ったSE。
ドラッグソングの面も大きい。こういう曲は聴く側もキメてないと真価が分からないともいうけど、どうなんだろう。僕はやったことないので分かりません。
ただ、聴いていてふわふわした感覚にとらわれたりする。

歌詞は哲学的で、全文にわたり文語調になっていて難解。
国語(つまり英語)の古典が得意で好きだったというジョンの本領発揮か。
なかでも

That love is all
And love is everyone
It is knowing
It is knowing

愛がすべて
愛とはあらゆるひとびと
それは知ること
それは知ること

のフレーズは、「All you need is love(愛こそはすべて)」につながっていることがわかる。
確実にジョン・レノンが形成されつつあることがわかる重要な場面だ。


インド思想にインスパイアされたメンバーはこの後、60年代中期という時代を反映したサイケデリックな装いを呈しはじめる。
アイドル、ビートルズを脱ぎ捨て、アーティストとなった彼ら。
しかし次のアルバムではとうとう「ビートルズ」であることさえ辞めてしまう。

それは次の更新で。

ではまた。
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by jai-guru-deva | 2008-02-08 14:08 | 今日知る音楽

10分じゃ分からないTHE BEATLES その2。

10分じゃ到底まとまらないので、タイトルが変わりました。
ではつづき、どうぞ。

『Beatles For Sale』1964年
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1. No Reply 主にジョン
2. I'm a Loser 主にジョン
3. Baby's in Black レノン・マッカートニー
4. Rock & Roll Music チャック・ベリーのカバー
5. I'll Follow the Sun ポール
6. Mr. Moonlight ドクター・フィールグッド&ディ・インターンズのカバー
7. Kansas City/Hey-Hey-Hey-Hey! [Medley]
(Kansas Cityはリトル・ウィリー・リトルフィールドのカバー
Hey-Hey-Hey-Hey!はリトル・リチャードのカバー)
8. Eight Days a Week レノン・マッカートニー
9. Words of Love バディ・ホリーのカバー
10. Honey Don't カール・パーキンスのカバー
11. Every Little Thing ポール(リードボーカルはジョン)
12. I Don't Want to Spoil the Party ジョン
13. What You're Doing ポール
14. Everybody's Trying to Be My Baby カール・パーキンスのカバー

【全体を通して】★★★★★
僕の最も思い入れのあるアルバム。高校一年生の時、イギリスにホームステイをしたんですが、ほとんどビートルズを知らなかった僕が、ふらっと立ち寄ったレコード店で買って帰った初めてのアルバム。これでビートルズに出会ったわけです。しかもイギリスで。
というわけで思い入れもあり、一番好きなくらいのアルバム。
後にポールが得意とすることになる、ストーリー性のある歌詞が登場したり、ボブ・ディランに影響を受けたフォークロックナンバーが入っていたり(今後も特にジョンはボブ・ディランに大きく影響を受けて行く)、フェイドインで始まるイントロがあったりと、作詞作曲やアレンジに関して彼らがすごいスピードで成長していたことがはっきりとわかる。
『ラバーソウル』以降の中期ビートルズへの過渡期的な作品と言える。
そういう風にビートルズの歴史を感じて聴くのもいいけれど、聴いていると全編にわたる、なんとなくカントリーな雰囲気やなんとなく懐かしい感じがすると思う。そこがいいんですよ。
ビートルズの作品でも一番地味だとは思いますが、なんだかちょっと曇ったイギリスの森林や、草原が蘇ってくるような懐かしさがある。僕の個人的な思い出とかがそうさせているのかな。
でも僕はビートルズの予備知識なく、これを聴いて、何だか、何故だかすごくノスタルジックな感覚に襲われました。すごく感性に訴えてくるものがあって、そこからビートルズにハマっていくことになりました。
なお、前作が全てオリジナルであったのに対し今作では全14曲中、8曲がオリジナルで6曲がカバーとなっている。


【オススメ曲】
「No Reply」
主にジョンの曲。
ややカントリー調のメロディが美しいですね。
嫉妬してるストーカーっぽい歌詞ですが。
僕は大好きな歌です。ビートルズで好きな曲をいくつか挙げろと言われたら必ずランクインします。

「Baby's in Black」
じんわりとした佳曲。
脳腫瘍で急死した元メンバーのスチュアート(前の記事参照)の婚約者で写真家のアストリッド・キルヒャー(ビートルズのマッシュルームカットを初めてセットしたとも言われる女性)に捧げた歌になっていて悲しげ。
スチュアートはジョン自身の数少ない親友の一人だったため、その死に影響を受けている。

「Rock & Roll Music」
ビートルズが大好きなチャックベリーのカバー。
この曲はビートルズの他にもビーチボーイズなどにもカバーされている。
ジョンの声はこう言うロックナンバーに映える映える。
高音を出す時やシャウトの時にかすれてハスキーな声になるんですよね。そこが好き。
声量、声域ともにポールのがあるけど、ジョンの声ってやっぱり神がかっててカリスマってこういうことか、って思う。

「I'll Follow the Sun」
ポールの曲。これも大好きですね。「ノー・リプライ」と同じくらい。
なんか、イギリスって感じが強くする。
静かで、なんだか懐かしく、あったかい。
For tomorrow may rain, so I'll follow the sun.
って歌詞もなんてことないんだけど好き。
ポールらしいあったかい、カントリー調の名曲。

「Mr. Moonlight」
カバー曲。
「ミスター!!」っていう冒頭のジョンのシャウト。
ジョンじゃなきゃダメでしょう。こういう絶叫は。こういう時にこそジョンの真価が発揮される。
というか、「ミスター!!」のとこだけでいいです。この曲。

「Kansas City/Hey-Hey-Hey-Hey! [Medley]」
二つのカバー曲をメドレー風に一体化した曲。
とってもビートルズらしい掛け合いの、楽しい感じの歌になっている。

「Eight Days a Week」
バンドが多忙を極めていた当時、リンゴが「週8日仕事かよ」ってぼやいたことに、「週8って、どないやねん」ということで作られた曲。
イントロがフェイド・インから始まる、当時としては画期的な手法で作られている。
割と淡々と歌うジョンと手拍子がいいですね。


『HELP!』1965年
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1.Help! ジョン
2.The Night Before ポール
3.You've Got To Hide Your Love Away ジョン
4.I Need You ジョージ
5.Another Girl ポール
6.You're Gonna Lose That Girl ジョン
7.Ticket to Ride レノン・マッカートニー
8.Act Naturally バック・オーウェンズのカバー(ボーカルはリンゴ)
9.It's Only Love ジョン
10.You Like Me Too Much ジョージ
11.Tell Me What You See ポール
12.I've Just Seen a Face ポール
13.Yesterday ポール
14.Dizzy Miss Lizzy ラリー・ウィリアムスのカバー

【全体を通して】★★★☆☆
同タイトルの主演映画のサントラ。
邦題「4人はアイドル」でもよく知られる。
ジョンの詞がどんどん内省化していき、深い心情を直接的にも(お得意の皮肉を用いて)婉曲的にも吐露し始める。ただし、音的にはまだ初期を引きずっているようで、そこまでの進化を感じない。ジョージも2曲を発表し、ソングライターとして台頭しつつあるが、まだジョン、ポールという才能の前では霞んでしまわざるを得ない。
ここで凄いのはポール。
稀代のヒットメーカー、ソングライターとしての真価を発揮し始め、とうとう「Yesterday」が登場する。ポールがソングライティングでジョンに一歩リードしているといえるアルバム。
2曲がカバー。
もうカバー曲は捨て曲になるくらい存在感がない。入れない方がいいと思うほど。
ビートルズのオリジナルが完全に過去の名曲を超えている。

【オススメ曲】
「Help!」
「ヘルプ!!」という鋭いシャウトの後、転調し、ポップな曲調へ。
非常に新鮮で鮮烈な構成で、何度聴いてもはっとする。
一聴して軽快で、分かりやすい失恋ソングだけれど、裏には当時ビートルズの置かれた狂った状況に対する悲痛なメッセージがある。
人気が一人歩きし、ためにメンバーは行動を束縛され、常に誰かの監視下に置かれているような感覚に捕われていた。
「僕らは豚のように暴飲暴食し肥え太っていく己自身に失望していた。助けを求めて叫んでいたんだ」
ジョンのその悲痛な叫びが、あの鋭いシャウトにあらわれている。

「You've Got To Hide Your Love Away」
邦題「悲しみはぶっとばせ」で知られる。
ジョンの作。
めちゃくちゃ好きですね、これ。このアルバムでは1番。僕の日替わり全ビートルズランキング中でも10番内には必ず入る。
理屈抜きでカッコイイ。
淡々としたメロ部分から、
サビの「Hey!! You've Got To Hide Your Love Away」がもう、ね。
割と知られてない、超名曲です。
オアシスが「サム・マイト・セイ」のカップリングでカバーしてます。
ノエル・ギャラガー盤もいいけど、やっぱりこれはジョンの声で聴くべき。

「Ticket to Ride」
イントロからしてもう名曲。
なんですが、そーんな好きではないかな。僕は。
好きではないけど、凄いっていうのは分かる。
サウンド的にこれまでのビートルズからは完全に脱皮しようとしている。
初期への明確な訣別と言うか、いままでのビートルズではないな、という感じがしますね。

「I've Just Seen a Face」
ポール。
カントリー調で、一聴するとジョンっぽいのだけどポール。
というのも、こういう作品は元がボブ・ディランの影響で、ジョンがそう言う曲をよく書いていたから。ポールがこういうのを書くのは稀。だけど、内容はバラードで、そうやって仕立てるのは、ポールのお得意の技。

「Yesterday」
言わずと知れたポールの歴史的名曲。
世界で最も多くカバーされた曲としてギネスにも登録されてある。
明らかにこれまでのビートルズとはかけ離れた、クラシックのように澄んだ歌で、アイドル、もしくはロックバンドとしてみられたビートルズが、アーティストとしてみられるようになった瞬間。
就寝中に夢の中でメロディが浮かび、あわててコードを探してスタジオで完成させたという「イエスタディ」制作の逸話がその通りならば、ビートルに次の段階へと進ませる、神の啓示のようにも思える。
それが真実にせよ作り話にせよ、ビートルズは次のアルバムで確実に他のバンドの追随を許さない、唯一無二の存在となることになる。


それは次の更新で。
では。
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by jai-guru-deva | 2008-02-07 23:03 | 今日知る音楽

10分で分かるThe Beatles その1。


当ブログとリンクしてる白クロニクルのseven spotさんからビートルズのレヴューの依頼が来たので書きます。

依頼としては

Abbey Road
White Album
Help!
Let it Be
Magical Mystery Tour
Past Masters
Revolver
Rubber Soul
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
With The Beatles

を年代順で彼らの歴史を交えて簡単に。ということだったのだけれど、どうせなら全部『please please me』から全部やっちゃおうと思って、やってみます。

果たして簡単にまとまるかどうか不明だけれど。興味があればお付き合い下さい。


【メジャーデビュー以前】

そもそもビートルズのイメージについて払拭しなきゃならないことがあるんだけど、ビートルズって後期ジョン・レノンの影響やら、そのスーツにマッシュルームの姿から、愛に溢れたいい子ちゃんバンドという受け止め方があるじゃないですか。ともすれば、不良代表のローリングストーンズ、いい子ちゃんビートルズみたいなことになっているんだけど、
それって全くの誤解で、すごい、ビートルズって尖ってるんです。
ジョン・レノンなんてもともと悪ガキの不良でしかないから。
いまでこそ、教科書に載るようなこぎれいにまとまった楽曲たちも、当時としてはもの凄いインパクトなわけですよ。きっと。わかんないけど。当時の人じゃないから。

まあ、そういうのもふくめ、いろいろレヴューしてみましょう。

まずはビートルズの生い立ちについておさらい。
ジョン・レノンを軸に概説。

1940年10月9日、ナチス・ドイツによる空襲下に置かれたリバプールで誕生。出生当時、父アルフレッドは商船隊員として航海中で不在(そのまま蒸発)、母ジュリアも他の男性と同棲していたため、ジュリアの姉であるミミ夫婦のもとで育てられることとなる。

そうした経緯から(両親の愛情をまともに受けれなかったという意味で)クオリー・バンク校という学校に入学したジョンは、喧嘩にあけくれたそうで、札付きのワルとして有名に。そんな1956年のある日、エルヴィス・プレスリーの「ハートブレイク・ホテル」を聴いたジョンは、ロックンロールに目覚めることになる。この頃、母ジュリアが近くに引っ越してきて、ジュリアの家を行き来するようになる。この間にジュリアはジョンにバンジョーの演奏法を手ほどきし、ジョンとしては生まれて初めて母親というものを感じたんだと思う。
そこで「クオリーメン」というバンドを結成。そしてライブを観に来たポールと出会う。
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(クオリーメン時代のジョン)

ポールはジョンらメンバーに請われて自分のギターの演奏を披露。それにピンと来たジョンはポールを正式にクオリーメンに加入させる。

その後、ポールと同じ通学バスに乗ってた後輩のジョージ・ハリスンとポールが意気投合。
ポールの紹介でジョージがメンバーに。
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(クオリーメン時代、左からジョージ、ジョン、ポール)

そんなとき、ジョンの目の前で、酔っぱらい運転の警官に母、ジュリアは轢かれて死んでしまう。これはジョンに大きな禍根を残し、ジョンの後の作品に色濃い影響を残すことになる。
また、このことがきかっけで、14歳で母を失っていたポールとさらに絆を深める。

その後、メンバーはその三人だけになり、アートスクールに進んだジョンが友人のスチュアート・サトクリフ(通称スチュ)がメンバーに誘われ、ここでバンド名が変わる。
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スチュアート・サトクリフ。イケメンです。

「ジョニー&ザ・ムーン・ドッグス」そして「ザ・シルバー・ビートルズ」と紆余曲折を経て、1961年、とうとう「THE BEATLES」として出発する。
ちなみに「THE BEATLES」というバンド名を決めたのはスチュとジョン。
彼らの敬愛するロックンローラーバディ・ホリーのバンド名『バディ・ホリー&ザ・クリケッツ』のクリケッツ(こおろぎ)にあやかって、同じ昆虫の名前ビートルズ(BEETLES、かぶとむしの複数形)をマーロン・ブランド主演の映画『乱暴者』の中から思いついて、クリケッツ(こおろぎの他にスポーツのクリケットの意味がある)のようにダブルミーニング、ってカッコよくね?と、BEETLESに音楽のBEATを加える意味でスペルを変えて「BEATLES」とした。

ジョン・レノンはこう言う。
「言葉だけを聞くとモゾモゾ動く虫をイメージするだろ、でも字を見るとビートミュージックというわけだ」
その後、「THE BEATLES」にピート・ベストがドラマーとして加入。

もともと楽器が弾けず、アートスクールの奨学金特待生だったスチュアートは画家を志し脱退。その後、1962年、脳出血のため21歳という若さで他界。
彼の死はビートルズのメンバー、特にジョンに大きな影響を残した。
ジョンにとってスチュは心を許せる、数少ない本当の友達だったという。
さらに「THE BEATLES」がパーロフォンとメジャー契約するにあたって、技量的な観点からピートは解雇され、しばしばサポートメンバーとして参加していて、当時ビートルズより格上のバンドにいたリンゴ・スター(本名・リチャード・スターキー、芸名の由来は当時の写真などをみればわかるけど、常に大きな指輪をしていることから、「リングス」というあだ名がなまって「リンゴ」になったようだ)を説得の上、加入させ、1962年、僕たちが知る「THE BEATLES」としてスタートする。


と、かなり前置きが長くなってすいません。
では、これから各アルバムについてみていきましょう。

各曲に作詞、作曲者を書くけれど、基本的に作曲した人がメインボーカルをとっています。
また、ジョンとポールはどちらかが作曲したものについてもレノン・マッカートニーのクレジットを用いているけど、ここでは分かりやすいように作曲したほうの名前で載せます(共作の場合はレノン・マッカートニーで載せました)。
また、極めて個人的な嗜好によって5つ☆評価もしてありますが、あまり気になさらず、ビートルズ聴いたことなくてこれから聴こうかな、って方は是非、1stから順に聴いていってくださいね。


『PLEASE PLEASE ME』1963年

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1. I Saw Her Standing There ポール
2. Misery レノン・マッカートニー
3. Anna (Go to Him)  アーサー・アレキサンダーのカバー
4. Chains  クッキーズのカバー
5. Boys シュレルズのカバー
6. Ask Me Why ジョン
7. Please Please Me 主にジョン
8. Love Me Do 主にポール
9. P.S. I Love You ポール
10. Baby It's You シュレルズのカバー
11. Do You Want to Know a Secret ジョン
12. Taste of Honey レニー・ウェルチのカバー
13. There's a Place ジョン
14. Twist and Shout アイズレー・ブラザーズのカバー

【全体を通して】★★★☆☆
2ndシングル「please please me」のヒットから急遽アルバム制作が始められ、制作時間はたった10時間という、1stから超絶なビートルズ。
最後の「Twist and Shout」は過酷なスケジュール(10時間歌いっぱなし)で声が潰れたジョンが文字通りシャウト。この声がカッコよくてわざとこれが採用された。声の擦れ方が非常にジョンらしくてめちゃくちゃカッコイイ。
ところでこのアルバム、14曲中6曲がカバー。
けど、当時としてはバンドがオリジナル曲だけでアルバムを構成するなんてことはなくて、むしろ、これだけオリジナルを入れたのは異例。
そもそも、当時のバンドは、一人、メインのボーカリストがいて、演奏者はバックバンドでしかなく、バンド名も例えば「ジャッキー吉川とブルーコメッツ」みたいな感じだった。
それをビートルズは4人が4人とも歌を歌って、メンバー全員が前に出てる、という時点で画期的だった。

アルバムとして、即席でつくられたものということもあって、特にまとまりとかコンセプトみたいなのは感じられない。というかアルバムにコンセプトなんて持ち込んだのもビートルズだし。
ただ、まだ、このときにはそういったものは無い。
けど、「I Saw Her Standing There」にせよ、「Please Please Me」にせよ、「Twist and Shout」にせよ、とても若々しくて、野望に満ちあふれたビートルズが聴けるし、なんだか生音みたいでライブを観るような臨場感がある。
ビートルズをずーっと聴いてると、だんだん中期や後期の練り上げられた世界に引き込まれて行くんだけど、結局、いつもここに戻ってくる。凝りまくった後のビートルズにちょっとつかれたらやっぱりこのアルバムの、ストレートでシンプルなロックしてるビートルズを聴きたくなる。これでこそビートルズ!がつまった、とてもいい作品。

【オススメ曲】
「I Saw Her Standing There」
しょっぱなからのポールの「1,2,3,4!!」という威勢のいいかけ声で始まるオリジナル曲にまずぶっ飛ぶわけです。ポールの声も野太くてイイ。1分30秒くらいんとこのシャウトなんかもカッコいい。

「Ask Me Why」
ジョンの声がとっても美しい。最初のリフもかわいらしい。

「Please Please Me」
ジョンのハーモニカで始まる、あまりにも有名な曲。
「come on, come on, come on」の掛け合いも、ビートルズの代名詞になっている。
高校の時、馬鹿だった僕は、タイトルなんて訳すんだ?「くれくれ俺に」???
とかって思ってたけど、二個目のpleaseは「楽しませる」だから、「俺を楽しませておくれ」みたいな感じなんですな。

「Love Me Do」
これもジョンのハーモニカで始まる、シンプルな曲。
このアルバムに入ってるのはドラムがリンゴではない。これはプロデューサーであるジョージ・マーティンの意向。
リンゴ版は『Past Masters vol.1』に入っている。『Past〜』のほうが全体的に落ち着いているけど、なんだかドラムがちょっと遅い。これはビートルズ全般にいえるんだけど、リンゴがわざと半拍くらいずらせているのか、ただ単に下手なだけか議論が繰り返されているとこだけど、どっちにせよ、この気持ち悪いドラムもビートルズの魅力で、特に中期のドラッグの影響の濃い時期は一層効いてくる。なんか不気味でそら恐ろしい、そんな感じがする。これ計算だったらほんとコワイ。そしてビートルズならやりかねないのがまたコワイ。

「P.S. I Love You」
最初からジョンとポールのハモリではじまる。そのハモリが綺麗。
その後、メインボーカルはポールだけど、裏のジョンのコーラスが絶妙。


「Baby It's You」
カバー曲。
ジョンのメインボーカルに「シャラララララー」というコーラスが全編に渡ってかかる。
ジョンの声もセクシーで、特に「Nobady, Nobady」のところの軽いシャウトがイイ。

「Twist and Shout」
カバー曲。
上でも触れたように絞りだされたジョンのハスキーな声がたまりません。
ボルテージ上がったジョンと、淡々としたコーラスもまたイイ。
「Ahh〜Ahh〜Ahh〜,Wow!!!」
てとこなんてコーラスのお手本ですよね。



『WITH THE BEATLES』1963年
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1. It Won't Be Long ジョン
2. All I've Got To Do ジョン
3. All My Loving ポール
4. Don't Bother Me ジョージ
5. Little Child レノン・マッカートニー
6. Till There Was You ミュージカル「ミュージック・マン」から
7. Please Mister Postman マーヴェレッツのカバー
8. Roll Over Beethoven チャック・ベリーのカバー
9. Hold Me Tight ポール
10. You Really Got A Hold On Me スモーキー・ロビンソン&ミラクルズのカバー
11. I Wanna Be Your Man ジョン
12. Devil In Her Heart ドネイズのカバー
13. Not A Second Time ジョン
14. Money (That's What I Want) バレット・ストロングのカバー

【全体を通して】★★★★★
2ndアルバム。なんと1stからわずか4ヶ月後の作品。
だから1stからそのまんますんなり入っていけるんだけど、完成度は1stより断然上。
まだ小粒だけれど4曲目「Don't Bother Me」でジョージがシンガーソングライターとしてのデビュー作を書いている。だけど、まだ後のような個性はでていなくて、ジョージ本人も「あまり良い出来ではない」と後年語っている。けど僕は嫌いじゃないです。
1stに比べて全体的にテンポがよく、軽快に聴ける。捨て曲がほとんどない。捨てる暇もない。

【オススメ曲】
「It Won't Be Long」
「yeah! yeah!」のかけ声が印象的で曲も軽快。まさに1曲目に相応しい。メインボーカルはジョン。コーラスはジョージとポール。最後の方でジョージがかけ声をミスってたりする。

「All I've Got To Do」
チロリーンというギターから始まり、ジョンがほぼアカペラ、そこからコーラスがかぶりだす、綺麗な構成。
ジョンが盛り上がってくサビの「Ahhhh〜」というコーラスもいい。

「All My Loving」
名曲来ました、的な、ポールの代表的なナンバー。
こういうアップテンポでポップな曲を作らせたら誰もポールに勝てません。ひねくれてない、ストレートなポップソングは必ずポール。
ジョンとは全くタイプの違う天才だな、ってこれ聴くたびに思う。つくづくこの二人が出会ったのって凄いことだなあ。神の存在や運命の存在を信じてしまいそうになる。

「Little Child」
ジョンとポールの共作だけど、ややジョンが強いように感じる。
ロックなハーモニカはジョン。
大好きですね、この曲。ジョンのボーカルとポールのボーカルがめまぐるしくて、メロディーもそれをおいかけるみたいで聴いてて飽きない。


「Please Mister Postman」
カバー曲。
僕の大好きな曲。残念ながらオリジナル聴いたことないんで聴いてみたい。
メインはジョンだけど、ポール、ジョージとのコーラス合戦が凄まじい。
こんな綺麗なコーラスはビートルズの中でもないと言ってもいいんじゃないかと思う。
ロックだけじゃなく黒人のコーラスグループに影響を受けたビートルズの懐の広さも感じる。
絶対どこかで聴いたことあると思うけど、改めて聴いてみてください。


「Roll Over Beethoven」
カバー曲。
とにかくカッコイイ。まさにロックの原点。タイトルからしてカッコイイ。
オリジナルはかのチャック・ベリー。これもオリジナル聴いてみたい。
リードボーカルはジョージ。

「You Really Got A Hold On Me」
最初のピアノがカッコイイですが、ピアノ弾いてるのはジョージ・マーティン(プロデューサー)。これも黒人音楽の影響で、コーラスが印象的。特に終盤にかけての畳み掛けるようなコーラスが素晴らしい。

「I Wanna Be Your Man」
ジョンとポールの共作。ローリングストーンズのために作られた。
ハードめなロックナンバー。
ミックは「ポールとジョンの曲つくりは見事だった。かなり売れ線の曲だったし、2人が一番良い曲のひとつを俺たちに快くくれたことに驚いていた」と当時のことを語り、キースはビートルズの曲をやるなんて鼻高々だと喜んでいたらしい。
当のジョンは「あれは捨て曲だ。名曲なんて彼らにはやらない」と言ってます(笑)

「Money (That's What I Want)」
ピアノがカッコイイ。このピアノもジョージ・マーティン。
「とにかく金をくれよ」「お金は裏切らない」と言い続ける。当時アイドル扱いされていたビートルズの抵抗かも。



このアルバムはほとんど全てオススメになっちゃった。いいアルバムなんですよ、ホント。



『A Hard Day's Night』1964年
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1. A Hard Day's Night ジョン
2. I Should Have Known Better ジョン
3. If I Fell ジョン
4. I'm Happy Just To Dance With You ジョン
5. And I Love Her ポール
6. Tell Me Why ジョン
7. Can't Buy Me Love ポール
8. Any Time At All ジョン
9. I'll Cry Instead ジョン
10. Things We Said Today ポール
11. When I Get Home ジョン
12. You Can't Do That ジョン
13. I'll Be Back ジョン


【全体を通して】★★★★☆
『ビートルズがやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!』の邦題で知られる3rdアルバム。ここにきてビートルズはとうとう全曲オリジナルに。そしてこのアルバムは全アルバム中唯一、作詞作曲のクレジットがレノン・マッカートニーで統一されたもの。
ただし、実際にはほとんどジョン・レノンによるもので、ジョンファンからはビートルズ中で最高のアルバムとの呼び名もある。
そもそもは、同タイトルのビートルズ初主演映画のサントラ盤ということになっているけど、映画自体、ストーリーがあるとは言えない、どたばた劇で、いわばアイドルとしてのビートルズのプロモーションムービーとでも言った方がいいかも知れない。
なお、『ビートルズがやってくる〜』の邦題は映画評論家水野晴郎によるもの。
全体的にやはり初期ジョン好みの軽快なロックサウンドで、さっくり聴けて聴きやすいんだけど、飽きやすい気がする。

【オススメ曲】
「A Hard Day's Night」
やっぱりこれですね。
最初のジャーン!っていう独特なコードのギターからしてカッコイイじゃないですか。
ジョンのシャウトから間奏にいく部分、間奏のジョージのギター。それにかさなるピアノ。何度聴いても鳥肌が立ちます。
その間奏部分はどうやらテープを半速で回し、そこにジョージのギターとジョージ・マーティンのピアノを同時に録音したものらしい。

「If I Fell」
ジョンのバラードの傑作。
ジョンの弾き語りから、転調し、ポールとのコーラスにつながる(♪If I give my heart to you〜)。その二人の声がサビ部分へと盛り上がって行く感じ(♪'Cause I couldn't stand the pain〜)。最高です。胸に穴が空いたみたいにすーっと切ない気持ちになりますね。

「I'm Happy Just to Dance With You」
ジョンがジョージに書いた曲。なのでメインボーカルはジョージ。
Just to dance with you〜
is everything I need〜(Oh)
というあたりからが見せ場。コーラスの綺麗な曲です。

「And I Love Her」
ポールのバラード。
間奏はジョージのクラシックギターによるもの。
ゆっくりとした単調なフレーズを一音一音しっかり弾いてて、気持ちいい。なんかジョージの人柄が伝わってくると言うか。静かなビートルと言われた彼の仕事っぷりが分かります。
奥田民生に「And I Love Car」てタイトルをパロったものがありますね。

「Can't Buy Me Love」
ポールのロックナンバー。
ポールのタイトルコールシャウトに始まり、タイトル連呼で終わる。
前作の最後、「マネー」で「金、金、金」言っておいて、「愛はお金じゃ買えないよ」だって。
意志に反してアイドルとして売られたビートルズがここにいます。
とはいえ、この軽快なメロディでビートルズの代表曲になってますね。
YUIのデビューアルバムは「CAN' T BUY MY LOVE」ですが、これからとったのでしょうか。
文法的にはどっちがあってるんだ??

「Any Time At All」
非常にジョンっぽい軽い感じのロックソング。
最初の「バンッ!」ていうリンゴのドラムが印象的。
ちなみに、前作の「It Won't Be Long」を改変して作ったとジョンは後年に語っています。
だから非常によく似てる。どっちも好きですね、僕は。
このアルバムも前作までと同様、時間がない中で作ったものだからそういうこともあるんでしょう。
というか、わずか1年で3枚のアルバムを作ってますからね、この時点で。半端じゃないと思います。

「I'll Be Back」
ジョンが蒸発していたはずの父・フレッドに再会した(ジョンが有名になったことを知って名乗り出て来た)ことがもとで作られた曲。
このアルバムで、「A Hard Day's Night」に次いで二番目に好きです。
ジョンの悲しげな歌声が、たまりません。
CDの対訳だと、男女の歌になっていると思うんだけど、僕は、やっぱり父に対する複雑な感情をあらわした歌だと思う。
長くなるけど、全文↓

You know if you break my heart I'll go
But I'll be back again
'Cos I told you once before good-bye
But I came back again
I love you so
I'm the one who wants you
Yes I'm the one who wants you
Oh ho oh ho oh

You could find better things to do
Than to break my heart again
This time I will try to show
That I'm not tyring to pretend

I through that you would realise
That if I run away from you
That you would want me too
But I've got a big surprise
Oh ho oh ho oh

You could find better things to do
Than to break my heart again
This time I will try to show that I'm
Not tyring to pretend
I wanna go
But I hate to leave you
You know I hate to leave you
Oh ho oh ho oh

You if you break my heart I'll go
But I'll be back again


それを僕なりに訳してみると↓

俺を傷つけるのなら、出て行くよ。
でもきっとまた戻ってきてしまう。
だって前にも一度グッバイを言ったんだけど、
こうしてまたあんたの前に戻ってきてしまっているんだから。

本当は愛しているんだ。
これは本当の気持ちだ。
疑いようもない、本当の気持ちだ。

お父さん、俺をヘコませるより
もっとほかにやるべきことがあるだろう?
今度こそ、ホラじゃないってことを
わからせてやるよ。

俺が離れていれば、お父さん、あんたにも
俺が必要だってことに
気づいてくれると思っていたのに。
けれど、それは大きな間違いだったわけだ。

出て行きたいんだ。けど、
あんたと離れるのはやっぱり嫌なんだ。
わかるだろ、あんたも俺の父親なら。

俺を傷つけるつもりなら出て行くよ。
けど、またきっと、戻ってきてしまうんだ。


簡単に男女の話にも転嫁できるけど、やっぱり自分を捨てた親父に対する憎しみとまた、肉親に対する愛情が渾然になった複雑な気持ちを歌った歌だと僕は思うんですよねえ。


どうやら容量的問題で一度にアップロードできないので、分割してアップします。
続きは次の更新で。
というか、10分では読めませんね。すいません。。。
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by jai-guru-deva | 2008-02-05 05:13 | 今日知る音楽