彦根城の日記を書いたのが3日。
いや、やばいですねこの更新頻度。 月2のペースですか。 安土城のレポートだけれど行ってからすでに1ヶ月経ってしまいました。 ただ、その間いろいろと資料を読んだりしたので、その知識を結集させて書いていきましょう。 今回は織田信長や安土城を語る上では欠かせない一次資料である、ルイス・フロイスの「日本史」と太田牛一の「信長公記」を基にして書いていきます。 さて。 彦根城を後にして僕は安土に向かいました。 安土駅はそりゃあもうちっちゃな駅ですから特急やら快速なんて止まりません。 各駅停車です。 で、降り立った印象は、僕の地元の駅に似ている!というくらい田舎。JR西日本というのもあって駅の外観なんかはほとんど一緒。 ただし、 駅前で信長公がお出迎え。 なんかあんましかっこよくない。。。 安土城のある安土山や、資料館とかがある場所は駅から若干離れているために観光客は普通自転車を借りていくことになる。 いかにも、みたいなレンタサイクル屋が並ぶ。 そのうちの一軒に入ってお借りする。 もう午後3時頃とあってあまり観光客もいない。 レンタサイクル屋でインターフォンを押すと、エプロン姿のおばちゃんが出てきた。 安土に来るのは初めてだと言うと、おばちゃんは地図をくれてそれに目印なんかを書き記しながらいろいろと説明してくれた。 安土城関連の資料館をまわって安土城をまわるとだいたい2時間くらいのコースやね、ということで 「じゃあ、とりあえず2時間ほど借ります」 というと 「うん。やけんどたぶんそのころには畑に出とるわあ、はっはっ。まあおらんかったらそのまま置いといてください」 とのこと。 のどかな田舎のおばちゃんにほっとする。 それでは自転車に乗って行きましょう。 左側にちょこっと見えるのが安土山。このときにはどの山が安土山なのかわかってなくてちゃんと撮れてませんね。。。 しかしかつての栄華を偲びようもないくらいの一面の田園風景。 しかし逆に言えば、この田園風景から安土の地がどれだけ豊穣な土地かがわかる。 安土山です。 僕はまず、安土文芸の郷というところにある「信長の館」を目指すことに。 ここには安土城の5階と6階部分を原寸復元したものがあるのです。 この安土城はスペインのセビリア万国博覧会において、日本館のメインの展示として造られ、博覧会会期中でもっとも多い入場者数を記録したものだそうです。 それを解体して安土に持って帰って組みなおしたのがいまの信長の館にある安土城。 詳しくはホームページをどうぞ。 信長の館 外観はこんな。 これ、実際に見るとデカイ。 このなかにすっぽりと安土城の5、6階部分が入ってます。 5,6階の二層だけでこの大きさだから全体像は、、、、 推して計るべし。 天下に号令するにふさわしい規模の城であったことは想像に難くはないでしょう。 では、入ってみましょう。 中には安土城の全体の推定復元のものがおいてあります。 「天守」という概念すらない時代の城。今見ることのできるどの城に比べても圧倒的に優雅で奇想天外な城。信長にしか描くことのできない、天守の姿でしょう。独特の美意識、センスには本当脱帽です。 では復元された安土城を見てみましょう。 「信長公記」の原文を引用しつつ写真をどうぞ。 (※信長公記の記述によると5階→6重め、6階→7重めとなる。これは1重めとされている場所を僕は地下1階と捉えているため) 六重め、八角四方あり。外柱は朱なり。内柱は皆金なり。 釈門十大御弟子等、釈尊成道御説法の次第、御縁輪には餓鬼ども、鬼どもかかせられ、御縁輪のはた板には、しゃちほこ、ひれうをかかせられ、高欄ぎぼうし、ほり物あり。 上七重め、三間四方、御座敷の内、皆金なり。そとがは、是れ又、金なり。 四方の内柱には、上龍、下龍。天井には天人御影向の所。御座敷の内には、三皇、五帝、孔門十哲、商山四皓、七賢などをかかせられ、 ひうち、ほうちやく、数十二つらせられ、狭間戸鉄なり。数六十余あり。皆、黒漆なり。御座敷の内外柱、怱々、漆にて、布を着せさせられ、其の上、皆黒漆なり。 とまあ、こんな感じで、この世のものとは思えないほどの美しさを現出していたことが想像できます。 しかしこの安土城、大きすぎて写真に収まりきりません。 なので動画でどうぞ。 さらにここにルイス・フロイスの記した安土城を見てみましょう。 (城の)真中には、彼らが天守と呼ぶ一種の塔があり、我らヨーロッパの塔よりもはるかに気品があり壮大な別種の建築である。 この塔は七層から成り、内部、外部ともに驚くほど見事な建築技術によって造営された。事実、内部にあっては、四方の壁に鮮やかに描かれた金色、その他色とりどりの肖像が、そのすべてを埋めつくしている。 外部では、これらの層ごとに種々の色分けがなされている。あるものは日本で用いられている漆塗り、すなわち黒い漆を塗った窓を配した白壁となっており、それがこの上ない美観を呈している。他のあるものは赤く、あるいは青く塗られており、最上階はすべて金色となっている。 さて、「信長公記」の太田牛一は信長の祐筆的な存在であり、安土城築城に関すること、また安土城内部のことも熟知した、詳細な記録をつけいている。 対してフロイスは安土城の内部事情にはおそらくそこまで詳しくないだろうけど、自らが見たままを率直な感想を持って記録していることが伺える。 さらに太田牛一は、彼がどれだけ自分の崇高な意思に基づいて軍記を書いたとしてもやはり権力者の検閲はさけられないために、どうしても信長へ賛美を送る文になるのだが、フロイスにはそのような圧力はない。そもそも「日本史」は本国ポルトガルに日本での布教状況を伝えるために編纂されたものであるため、事実を率直に連ねる必要がある。そこにはもちろん、日本の権力者に対する遠慮はない。 にも関わらず、フロイスは安土城をここまで礼賛している。素直に感動を示している。 やはりこれからも、安土城がよほど美しい城だったというのが見えてくる。 さて、信長の館、これだけではありません。 アドレナリンぶっしゅーな宝物があるのです。 まずこれ。 宣教師から信長へ献上されたお菓子入れ。 中には金平糖が入っていたそうです。 そしてこれ! 信長公の甲冑。 南蛮風の甲冑とマントという出で立ちのイメージが強い信長公。 だけど僕は本物を見たことがなかったので、おしっこもれそうになりました。 ほら、胴には十字架が刻まれてあります。 もちろん信長はキリシタンではありませんが。 左にあるのは信長が愛用していたという指揮棒。 なんだろう、やっぱり遺品ってすごい。 信長をこんな近くに感じることができたのは、本当に感動だし、幸せでした。 僕の中では織田信長という人物が唯一無二の英雄であるというのも、この遺品をすごく貴重なものに見せているのでしょうが。 しかし格好良い。 そして極めつけ。 南蛮の帽子をモティーフに作られた兜。 これ! 長篠合戦図屏風に描かれたあの兜じゃないのか?! ああ、その絵がいま手元にないのが残念。 馬にまたがる信長の前に、家来の持つ、この兜がたしかに描かれています。 うーん。 またなにか機会があったら長篠合戦図屏風見てみてください。 長くなったので二回に分けますね。次はいよいよ、安土城に登城してきます。 ではまた。
by jai-guru-deva
| 2006-10-29 01:36
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