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ICO

「ICO」というゲームをご存知でしょうか。

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プレステ2からSCE自らが出した作品。
2001年の発売だからもう6年も前のゲームです。

実は、僕、「ワンダと巨像」というゲームが少し気になっていて、調べてみるとどうやらこの「ICO」の製作チームの作品だということで、「ワンダ」の前にプレイしてみることにしたのです。


概要としては、角が生えたために生贄として謎の古城に閉じ込められた少年イコ(主人公)が、そこで出会った言葉の通じない少女ヨルダの手を取り共に古城から脱出するアクションアドベンチャーゲーム。

城にはいろいろな仕掛けがあってそれを解きながら進んでいきます。
イコの運動神経はすさまじく、軽々いろんな行動をとれるのですが、ヨルダはかよわい女の子。
手をつないで一緒に進んであげなければいけない。

この「手をつなぐ」という行為。
手をつなぐことで、ヨルダの鼓動がコントローラーの振動になってプレイヤーに届きます。
いつしかプレーヤーはこの少女を守らなきゃ!と強く思うようになる。
すくなくとも僕はなった。
イコは基本走りだけどヨルダはほとんど走れない。
だから手をつないで走るとなんだか可哀想で、走れない。
ゆっくりゆっくりヨルダにあわせて歩く自分がいたりする。

一応、敵もいるけれど、主人公ではなくヨルダを狙ってくる。
カゲと呼ばれるその敵は名前の通り真っ黒で、真っ白い少女ヨルダを闇の中へ引きずりこもうとする。
それをイコは必死に食い止める。

そんなカゲと呼ばれる敵はヨルダを一人にした隙にわらわらと現れる。そのタイミングが絶妙で、つねにプレイヤーに緊張感を与えている。

戦いや謎解きに疲れたら、周りを見渡す。
その風景の描写は見事で光と影、風、空気の軽重、いろいろなものを感じ取る事ができる。
基本的にBGMは無い、というか環境音、効果音だけ(風の音や松明の燃える音、鳥の鳴き声など)というのもこのゲームの世界観を形作る大きな要因でもあると思う。
断崖絶壁にある城からみる景色はときにゾッとするほどの高さを見せたりもする。

このゲーム全体的に、説明不足である。いい意味で。

ストーリーすらほとんど語らず、ヨルダは何をしゃべっているのか分からない。
仕様自体とてもシンプルで、イコにはHPだとかレベルだとかいったバロメータ的なものは一切無い。
高いところから落ちたら死ぬ、以上。みたいな。

エンディングを見ても謎は謎のままだったりする。
けど、それこそがゲームなのかな、って思った。
映画のような一本道のストーリーを凝ったムービーで見せ、ほとんどプレイヤーの意図とか想像とかが入る余地がないゲームって多い。でもそれだったら映画を観たほうがいい。
ゲームって作り手側とプレイヤーの相互のキャッチボール的なコミュニケーションで成り立つものだと僕は思うので、プレイヤーにある程度の自由を与えてあげないといけない。
そのあたりのバランスがこの作品はうまくとれている。
もちろん「ストーリーは城を脱出する」という一本道、というかそれしかないんだけど、なんでこの城が存在して、なんで生贄として角の生えた少年が選ばれるのか、ヨルダってそもそも何者なのよ、的なことには一切答えない。
答えはプレイした一人一人が勝手に出すものだ、という風にまさに想像力を掻き立てながらプレイする。
だからICOには100人100バージョンの物語が紡がれ、存在することになる。



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というようなわけで、そんな難しいことを考えるまでも無く勝手に引きずり込まれるからやってみた方がいいです。
ジブリ的な、とは言いたくないけど、そんな雰囲気も持っています。
スリリングだけどとっても癒される、これは傑作です。


主題歌も良いですよ。公式サイトでちょこっとだけ聴けます。
ICO公式サイト

ちなみに、作家の宮部みゆきさんはこのゲームの大ファンらしく、同タイトルの小説を出してます。
プレイする前に読んでみてもいいかも。
僕はまだ読んでませんが。



で、引き続き「ワンダと巨像」やってるけどこっちも凄まじい。
散々言っといて僕は「ワンダ」のが好きかも(笑)。
「ワンダ」についてはまた。
by jai-guru-deva | 2007-09-10 12:34 | 今日知るゲーム
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