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北方三国志。

中国から帰ってきてから読み始めた北方謙三の「三国志」。
全13巻、二ヶ月かけてやっと読み終わった。。。

いや、久しぶりに熱中して本を読んだ。
今更だけど、めちゃくちゃ面白いね。この三国志は。

ただ、きっと吉川英治の三国志を読み、横山光輝の三国志を読んだ上でこの北方版を読むと尚一層面白いかも。
吉川三国志はいわばテキストで、とりあえず三国志を知ってみる。
小説は嫌だって人は、吉川三国志を原作にした漫画、横山三国志を読む(60巻あるけどw
)。
そうしてある程度、三国志への造詣を深めて、自分のなかでそれぞれの武将がキャラ立ちしだしたところで、北方三国志を読むと、(゚Д゚)ウマーなわけです。

簡単なレヴューをしたいけど若干ネタバレを含むため、続きに書きますね。







北方三国志は基本、史実、つまり三国志演義ではなく、三国志に拠りつつ、独自の展開をさせています。架空の人物もいっぱい出て来ます。

演義を元にした吉川版と史実を元にした北方版、違いは例えば。

●酒が温かいうちに関羽が華雄を斬る、という場面はない。
●関羽の千里行もない。
●赤壁で諸葛亮はほとんどなにもしない。
●周瑜が凄い。
●馬良、関興、張苞らの死ぬタイミング。
●関羽が戦死する。
●馬超が死なない。

挙げればキリがありません。
史実にうまく味をつけて、きちんと読み物として成立させている。
演義も、もともとはそうなんだけど、味付けが濃すぎるし、偏ってるんですね(劉備率いる蜀に)。
赤壁の戦いなんて、周瑜の独壇場で、実際その通りだしね。
当然、諸葛亮の才能を恐れはするけれども、演義の周瑜みたいにしつこくまとわりついたり、舌戦で返り討ちにあったりなんてありません。
「孔明め、鬼か悪魔か」
みたいな台詞も当然ありません。
周瑜が凄すぎて、周瑜死後の呉の記述は面白くない。

あと、史実っぽく書かれてあるから、英雄たちが人間としてみえるんですよね。
諸葛亮なんて、とても純粋な人で常に内省を繰り返し、戦で押されるともの凄く弱気になって劉備にたしなめられたり。
演義での、取っ付きにくい、超人諸葛亮じゃない。とっても好感がもてる。
正史での諸葛亮の評価(戦場での戦略は大した事はないが、政治家としては超一流)をうまく掛け合わせてて面白いです。

劉備はキレると何をするか分からなくて、その部分を張飛がわざと受け持つ、とか。
とにかく張飛がすごいいいヤツなんですよ。

諸葛亮のライバル、司馬懿はドMの変態だし。

あとは。。。
あ、呂布がめちゃくちゃいい味出してますよ。
孤独で、心根は優しい。
でも不器用で。。。

それぞれのキャラ立ちは、もう素晴らしい、の一言ですね。
こんなヤツ周りにいるわー、みたいなのが一杯でてきます。

え、この人こんなとこで死ぬの?とか、なんか地味な描写だなーとか思ってたら、よくよく考えると、正史に書いてある通りの行動をとっていたり。


全編に渡って男臭くて、でもだからこそ出てくる、清々しさがあって、読んだ後、すごく気持ちいい。13冊って長いようだけど、1冊1冊があっという間で次々読めちゃいます。
僕は電車と授業中だけで読んじゃったので二ヶ月もかかったけど、一日一冊のペースで読めちゃいます。
二週間で読めちゃうので、年末年始、こたつにでも入りながら読んでみては。
読んだら僕とお話ししましょう。


ちなみに。
触発されていま、三国志を僕なりに解釈して小説書いてます。別ブログたてて。
恥ずかしいからまだ公開してないけど。
そのうちリンク貼りますので、また読んでやってください。

では。
by jai-guru-deva | 2007-12-20 01:58 | 今日知る書籍
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